貴族名鑑







さこ 殿

王国の西のはずれにある小さな町を大商業都市に育て上げた大商人。その類い希な交渉力、行動力によって、いくつもの交易ルートを開発し、その影響力は拡大の一途をたどる。なかでもその正式な交易ルートに乗って流れた交易品には、町のシンボルである「羅針盤」のマークが入れられ、これがつくだけでその品質は保証され、高値で取り引きされるという。しかし、その羅針盤のマークもいくつかの種類に分類され、もっとも高い品質が保証されているのが「金の羅針盤」のマークであり、それこそ、その町でもっとも大きな影響力を持つだけでなく、町の事実上の運営者である大商人が扱ったという証拠でもあった。人々は彼を"羅針盤の豪商"と呼んでいる。「信用こそ最大の交易ルート」とは彼の有名な言葉である。

しゅん 殿

「多くを学ぶことは知識を詰め込む事とはまったく異なる」という言葉が有名な大賢者。王国の様々な博物館、文書館、資料館、研究所を自由に出入りできる特別な資格を持つ。彼の首には常にその特別な資格を意味する「4つの十字架」が重ねられた首飾りがあることから人々は彼を"四重十字架の大賢者"と呼ぶ。かつて彼は何人もの知識人から迫害にも等しい扱いを受けたが、その研究は非常に重要で役立ったため、最後には人々から圧倒的な支持を受けて次々と各研究機関が彼に特別な資格を与えた。「どんなに知識を詰め込もうと、それを独り占めしたり、それで多くの人が苦しむことならば、それはまったく意味を持たない」として情報を公開することに積極的であるため彼を支持する人々からは絶大な人気をもつ。

ここあ 殿

遠い昔に滅んだ王国の王族の血を引く一族の姫君、幼い頃はまったくそれを知らされなかったが、成人を前にしたある日突然、家の中から古い王家ゆかりの掛け軸が見つかり、それを知らされる。掛け軸には二つの翼を広げた竜が天に昇る姿が描かれており、それこそ代々彼女の家を守っているという「大雲竜」と「小雷竜」だった。そしてその夜、不思議なことに夢の中に二つの竜が現れて彼女と宴会をし、グチをこぼした。今でこそ彼女の家は普通の人々と同じだが、かつて竜達が守護していた王家は、自分たちの家が存続するよりも国民の命を救うために竜の力を使い、それによって王家が消滅してしまったのだ、だから自分たちを「無力」だとか言って責めないで欲しい、というものだった。竜を慰めた彼女はとても感謝されることになり、竜と彼女はそのまま眠ってしまった……ところが、翌朝気がつくと自分の部屋の中にはふたつの竜の姿があったのだ。慌てたのは彼女よりも竜達で、掛け軸には竜の姿がなくなっていて「もう掛け軸に戻れない、竜の力も無くなった」と嘆く。彼女は元気づけるために朝ご飯を竜にごちそうし、竜の力を取り戻すための旅に出ることになってしまう。数年後、彼女は見事に力を取り戻した竜達と新しい国を作ることになるのだが、いくつもの国々を救ったためにやがて"双竜の姫君"と人々から呼ばれるようになる。人々から聖なる存在とさえ言われる竜たちがいちばん好きな食べ物は、優しい姫様の作ってくれるご飯だというのは有名な話である。「腕力だけが力ではありません、優しさも大切な力です」というのは彼女の有名な言葉である。

みかん 殿

王国の南の果てにある古代樹を守る一族の姫君。古代樹には黄金色の果実が実り、それを食べたものには幸運が訪れるという伝説がある。これまでにもいくつもの王国がその古代樹を狙って侵略してきたが、一族の力によりずっと守られ続けている。古代樹には常に金色の羽を持つ鳥たちが訪れているというが、その金色の羽の源には古代樹の果実が関係していると調査に訪れた王立植物研究所の調査チームの報告がある。ただし、どのような鳥でも良いというわけではなく、古くからその地方で生息が確認されている鳥に限って羽が金色になるという事らしい。一族には代々収穫のはじめに最初に果実を古代樹から収穫するのは次期当主となるべき女性と決められており、その最初の果実は古い彼らの神々に供えられるという。古代樹を守る一族の女性には、代々不思議な治癒力を持つという伝説があるが調査に訪れた者は誰しもそれを確かめることは未だかつて出来ずにいる。「欲しい者を力ずくで得ようとする者には、その間違いに気づきにくいのです」というのは一族の姫君の有名な言葉である。人々は彼女を"古代樹の姫君"と呼ぶ。

ルイマリィ 殿

白い霧が立ちこめ、常に川全体が見渡すことが出来ないと言われている王国の北部を流れる大河、「白天江(はくてんこう)」その一帯を統治し、どんなに霧が深くても縦横無尽に船で行き来できる一族に生まれ、女性としては初の統治者になった。彼女のまわりには常にやわらかなそよ風が吹いているために、霧は彼女を避けるように晴れていくという。白天江を渡る者にとって彼女は守り神にも等しく、またその力によって外敵から攻められることもないため、統治下にある地域の人々は彼女を"霧の守護天使"と呼んで敬っている。

まき 殿

幸運を呼ぶと言われる「天翔る白い竜」と呼ばれる伝説の竜と友達になった事から、あちこちからやっかいごとの解決を頼まれるようになった町の娘。横笛を演奏するのがとても上手で、その笛の音に聞き惚れていた竜が彼女のもとにやってきたのがきっかけである。竜は彼女のそばにいて彼女の笛の音を楽しんでいたが、ある日、それをひがんだ町の人が彼女の笛を燃やしてしまった。悲観に暮れる彼女だったが、竜は彼女に美しい琥珀色の透き通る笛を渡した。その笛こそ伝説の楽器「白竜の横笛」であり、それ以降彼女はその笛で竜のために演奏を続けた。また「白竜の横笛」には様々な竜を呼び寄せる力があり、彼女は必要になったときはいつでも竜を呼んでその力を借りることが出来た。人々は彼女を"白竜笛(はくりゅうてき)の奏者"と呼んだ。

貴族名鑑編纂院

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