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ジャガーXJ−S と マーコス1650GT (東章産業でのメンテのため秋田に向かう途中) マーコス1650GTがとても小さく見えますが、 実際にはXJ−Sが大きい(全長5.1メートル)ため、小さく見えるのです。 |
XJ−Sにしばらく乗っていて、その後でマーコスに乗ってみると、改めてその違いに驚きます。
XJ−Sは、しっとりとして上品で、そして安心感があります。どっしりとした風格を持って、相手を力で威圧することだけが男の生き方じゃない、そんな感じになります。
一方のマーコスは荒削りで、振動も多く、ステアリングを握った瞬間から独特の興奮に包まれます。 アクセルを踏み込むたびに、ガオッ!、ガオッ!と吠えたてるキャブレター。ステアリングをほんのわずか動かしただけでも敏感に車の向きを変えようとするハンドリング。ブレーキを踏むとグンッと車のノーズが沈み込んでドライバーに荷重移動を知らせる独特のサスペンションセッティング。「戦うことをことを忘れたら、それはもう男じゃない」という一種のヤバさがあります。(言っておきますが「戦う」ということは「血を流すこと」とは同義ではありません)しかも荒削りで、下手な飾りがない分、ドライバーに直接伝わってくるものが多いんです。マーコスというメーカーは国産メーカーのように器用じゃないだと思います。でも、その分だけ目指しているものが飾り気がなくて純粋で、伝わりやすいのかもしれません。
ここでまた東章産業・吉田社長の出番になりますが、マーコス1650GTの性格とXJ-Sの性格、この二つの側面こそ英国貴族の精神だそうです。
男が誇りと意地をかけて突っ走るスポーツカー、もうひとつは隣に同乗者を乗せていかに快適に移動するかというグランドツアラー……前者がマーコス1650GTであり、後者がXJ−Sであるわけだと……うーん、なるほど。と頷くほかありませんでした。
XJ−Sを購入した時には、イメージ的にどちらも似たような性格かな、と思ったりしたんですが乗り比べると明らかに性格が違いますし、XJ−Sに乗った後でマーコス1650GTを運転すると「うーん、この車はおもしろいなぁ」と思ってしまうんですよね。欠点もあるんですが、それを補うほどの長所もちゃんとあるし……。しばらくはマーコスは手放せません。こんなおもしろい車はそう滅多にありませんから(^^)。(でも、だからといって、なにも知らない人がマーコスの出物があったからと手を出すときっとヤケドをしますから、気を付けてくださいね)
一方のXJ−S、これは間違いなく良い車だと思います。
不気味な存在感で周りを圧倒するところもありますが、充分日常生活で買い物などに使えますし、小回りが効かないだの言われている点も、マーコス1650GTに慣れていれば、問題ありません(そんなヤツは私くらいでしょうが……)。むしろXJ−Sに乗った後で1650GTに乗ると車幅感覚が解らなくて途方にくれます。また、周りの車に割り込みされたとしても不思議に全然気にならないんです。それはもう、びっくりするくらい運転した誰もが口を揃えて言います。あのイライラ男の悪友Mでさえ腹が立たないんですから……。
しかも、走り出す時はもちろん、信号待ちなどで止まる時にすごく同乗者に優しいんです。走り出す時に気を遣っても、意外と止まる時には無頓着だったりするんですが、XJ−Sだと違います。なんといっても、感心したのがブレーキです。国産車などでは最初の効き始めが唐突で、そのくせ踏んでいくとあっさりロックしたり、限界が低いことも解らないようなうわべだけの性能のものがあったりしますが、XJ−Sのブレーキはストロークが多めで踏み込んでいくに従ってきちんとブレーキが車速を落としていきます。(おそらく国産車からはじめてXJ−Sに乗り換えた人は、ブレーキが効かないと誤解するでしょうけど、実際にはそんなことはありません)
きちんとブレーキをコントロールできますから、信号で止まる時などはほとんど同乗者にブレーキのショックを与えずに車を止めることが出来ます。最初にブレーキペダルを踏んで減速し、もうそろそろXJ−Sが止まりそうだなーという速度になった時にスッと心もちブレーキペダルの力を抜いてあげると、まるでそれを合図にしたかのように穏やかに静止できます。これがなかなか気持ちよくて、隣に女性を乗せた時なんかは、信号で止まるのが楽しくなるほどです。このブレーキは凄いと思います。
それと、XJ−Sなんですが……自分を見つめ直すようになります。
マーコス1650GTを乗っている分には、極端に言えば「スポーツカー・オタク」でも充分なんですが、XJ−Sに乗るようになると、自分のライフスタイルとかも考えてしまいます……というか「考えさせられます」。XJ−Sのステアリングを握りながら、「本当の大人の男って何だろう?」と考えたりするんです。ちょっとまえまで、マーコス1650GTでワインディングをかっ飛んでいたり、メッサーシュミットでのほほ〜んな気持ちよさを味わっていた男が、XJ−Sに乗るとそんなことを考えてしまうんですから、ある意味コワイんですよね。
XJ−SのV12に一度乗ってご覧なさい。
間違いなく、自分の知らなかった世界を教えてくれます。