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XJ−S |
精神的な強さについて以前書きましたが、ジャガーには大きな乗用車独特の「強い存在感」もあります。
これまでそれほど意識はしなかったのですが、寒くてXJ−Sで出かけることが多くなったためか、まわりの車や乗っている人のヨソヨソしさから、ふと、XJ−Sの威圧感に気がつきました。
ちょっとやんちゃそうな若者も、この車が近くに寄るとXJ−Sからは視線を外します。ドンチャンカ、ドンチャカとヒップホップを掛けているいかにも悪そうなワゴン車の近くに寄っても、知らんぷりされます。(メッサーシュミットで隣に並んだ時に「しめんぞ(しばき倒すぞ)!おらぁーーー!」という怒鳴り声とともに追いかけられたのと正反対です)。この威圧感、個人的にはあまり良い感じはしませんが、治安の悪いところでは絶大な効果を発揮します。
実はこの威圧感のおかげで、高速道路で、比較的道が混んでいる時に、「追い越し車線をなかなか開けようとしない車」が道を空けてくれます。
秋田にマーコスの車検のためにXJ−Sとランデブー走行をした時に味わったのですが、高速道路でXJ−Sに張り付かれたときの怖さは独特です。なにも威圧なんかしていない、なのに感じる怖さがあります。低く、大きな車が音もなく忍び寄って来て、気がつくと後ろにいる…「俺はひょっとして殺(ヤ)られるのか?」と、まるで肉食獣に獲物として狙われている気分にさせられます。それで本能的に危険を感じるのかもしれません。
マーコスは比較的「どきやがれ!」という排気音を立てているので、追い抜かれる時には心の準備ができるのですが、XJ−Sは音もなく後ろに迫ってきます。そして、気がついた時には、バックミラーからはみ出して写る低く広いノーズ、そして大きなヘッドライト。
「え? いつ現れたんだこの車? ひょっとしてずっとこの車のじゃまをしていたのか?」
と、あわてて道を空けます。
さらに北米仕様のXJ−Sは対衝撃用の大型バンパーのおかげで、全長は5.1メートル。
これに抜かれると、非常に「しらけます」。
自分が一生懸命にやっていた事を、「たいしたことじゃないよ」と頭から否定された気分です。
相手はこちらが「一生懸命にやっていたこと」にまったく気がつかず、それを遙かに凌ぐ能力で追い越し、先へ行ってしまいます。凄いことを当たり前の事としてやり遂げている、しかも大変だとは思っていない、しかも自分がそれに追いつけない…これは厳しいです。
追いかけようとしてアクセルを踏み込んでも、XJ−Sはどんどん遠くなっていく…もう、負けを認めるしかありません。
強風の時もそうです。ほかの車が風でふらふらとハンドルが取られて怖い思いをしているとき、まったく横風の影響を受けずに高速で走り去るXJ−S。抜かれた方は、なんなんだ?この差は?とか思います。同じようにタイヤが4つあって、エンジンがあって、ブレーキがあって…13年前の車に勝てないってどういうことなのか?
ただし気をつけないと、この手の車で乱暴な運転をすると「野蛮なイメージ」だけがとても先行してしまうので、きちんと節度を持って扱うことが必要なのは言うまでもありません。(野蛮な車は残念なことに近所でもよく見かけます…)